a×0=0×a=0を示しましょう

(ただし、aは実数とします)

今回は、分配法則などの計算法則をより深く理解するために、
少し難しい問題に挑戦しましょう。

証明


まずは、簡単な準備から


私たちは、今まで「0に何をかけても0になるんだよ」と習って
きたと思いますが、実はこれ、あたりまえなことではありません。

今回はこの問題を、今まで見てきた計算法則たちを使って
考えてみることにします。

そのための準備として、1つ計算をしておきます。

a+(-a)

この計算の答えは、0ですね。つまり

a+(-a)=0

です。これがこの証明では結構重要だったりします。

それでは、証明に入りましょう!


この証明は、一連の計算からなります。
それぞれの計算過程において、どんな風に
計算法則たちが活躍しているのかをよーく見てあげてくださいね!

まず、問題文の左辺の「a×0」を変形します。
ここで、さっきやった計算

a+(-a)=0

から「0はa+(-a)に等しい」ということがわかりますね。
これをa×0に代入すると、

a×0=a×(a+(-a))

となります。

次に、分配法則を持ち出します。分配法則の式の形を思い出すと、

a×(a+(-a))=a×a+a×(-a)

となります。つまりここでは、()内の「a+(-a)」を先に計算せず、
その代わり()の外についている「1」を()内の2つの項に分配したのです。

さらに計算を進めます。

a×a+a×(-a)=a×a+(-a×a)となりますね。

a×a+a×(-a)=a×a+(-a×a)=0

となりますね。

まとめよう!


今まで行った計算の一連の流れを書いてみましょう!すると
こんな感じになりますね。

 a×0

=a×(a+(-a))

=a×a+a×(-a)

=a×a+(-a×a)

=0

最初の式と最後の式だけを取り出してみると

a×0=0

となりました。

この式の流れで感じてほしいのは、

「どの式の中でもa×0=0を使っていない」

ということなんです。計算法則(今回は主に分配法則)だけを使って
a×0の計算をし続けた結果、0にたどり着いた、ということを
この一連の計算式は示しているのです。

なので、a×0は決して当たり前に0ではなく
このような計算式があること
を覚えておきましょう!

おまけとして、a×0に交換法則を使うと、

a×0=0×a

となりますので、やはり0×aも0になります。

また、この計算では結合法則は出てきませんでしたが、
この証明をキッチリやろうとすると出てきます。