SPIを受けて、時間が足りずに最後まで解けなかった。その経験をした方は多いと思います。

大人塾は、大人のための算数・数学教室です。昇格試験や職掌転換、職種の変更、転職でSPIを受けることになった社会人の方が多く通われています。時間が足りないという相談は、そのなかでもとくに多いものです。

この記事では、SPIで点を取るための時間配分の考え方と、その中心にある「解けない問題を早く捨てる」判断について書きます。受検形式による違いや、捨てすぎを防ぐ方法、紙の問題集だけでは練習できないことにも触れます。

時間が足りないのは、皆同じ

まず前提を一つ外しておきます。SPIは、全問解くことを前提に作られた試験ではありません。制限時間内に全問を解き終える受検者は少数派で、多くの人が時間不足を感じています。

とくに、試験そのものが久しぶりという方の場合、緊張で頭が真っ白になり、「1問も解けなかった気がする」という感想を持つことは、大人になってからの受検では、めずらしいことではありません。

試験は、時間が足りないのは前提として、その限られた時間をどう使うかを決めておく。それが時間配分です。

さらに、問題は「時間がなくて解き切れないこと」ではなく、解ける問題を取りこぼしてしまうことです。

SPIで点を取るコツは、時間配分

限られた時間で正解数を最大にする。SPIの得点は、この一点にかかっています。そのために必要なのが時間配分です。

ただし、ここでいう時間配分は「1問1分ずつ均等に割り振る」という意味ではありません。

時間配分とは、捨てる判断

均等に配分しようとしても、実際の試験ではうまくいきません。1問にかかる時間は問題によって違いますし、自分にとって解ける問題と解けない問題が混ざって出てくるからです。

実際にやるべきことは、解けない問題を早い段階で手放して、最後の問題まで進み切ることです。すべての問題に目を通せてはじめて、自分が取れる問題を全部拾えたことになります。

1問に3分かけて結局解けなかった場合、失うのは3分だけではありません。その3分で解けたはずの問題を2問落としています。しかも試験の終盤までたどり着けなければ、そこにあった解ける問題は、見ることすらできません。時間配分とは、この取りこぼしを防ぐ判断のことです。

なぜ捨てられないのか

「わからない問題は飛ばしましょう」とは、どこにでも書いてあります。それでも実行できる人はあまり多くありません。大人塾でも、繰り返しお伝えしているのに捨てられない方をよく見ます。

理由はいくつかあります。

全問解きたい気持ちがある

問題を解きたいという気持ちが、問題を飛ばすことに抵抗します。ですが本番で見られているのは、どれだけ正解を積み上げたかです。解けない問題に時間をかけて、無駄にすることはありません。

あと少しで解けそうに見える

途中まで式が立つと、手放すのが難しくなります。実際には、途中まで進んだ問題ほど時間を吸い取ります。

目標を決めていない

何問取るかを決めていないと、捨てていい根拠がありません。捨てられない人の多くは、目標が「全部」のままになっています。

取れる問題は、試験のどこに出てくるか分からないからです。前半の難しい1問に時間を使って最後までたどり着けなければ、後半にあったはずの解ける問題を丸ごと落とすことになります。

やるべきことは、解けない問題を手放しながら最後の問題まで進み、その道中で取れるものを拾っていくことです。目標の数は、そうやって全体を通過した結果として積み上がります。

捨てた後どうなるかが見えていない

捨てた結果として点数が上がった経験がないと、捨てることは損にしか感じられません。この感覚は、時間を測った演習を繰り返すことでしか変わりません。

どこまで捨てていいのか

捨てる判断には基準が必要です。基準になるのは、あらかじめ決めておいた目標の正解数です。

大人塾に通学している方には、その方の状況に応じて目標を決め、そこから「取りにいく単元」と「手をつけない単元」を分けます。目標が決まると、学習の対象そのものが絞れます。試験までの期間が短い方ほど、この効果は大きくなります。

そして本番では、その目標が「この問題に1.5分かけるかどうか」を決める物差しになります。目標がないまま臨むと、目の前の1問が重要に見えてしまい、判断そのものができません。

捨てすぎにも注意

一方で、基準がないまま次々に飛ばしてしまうと、今度は取れる問題まで手放すことになります。

とくにWEBテスティングは答えを自分で入力する形式が多く、選択肢から勘で当たるということがほぼありません。捨てた問題は、そのまま0点です。

だからこそ、目標を決めておくことが必要になります。

テストセンターとWEBテスティングでは、捨て方が違います

同じSPIでも、受検形式によって捨てる判断の重みが変わります。

テストセンターは、正解すると次の問題の難易度が上がる適応型(IRT方式)です。正答に応じて出題される問題が変わり、誤答が続くと易しい問題に留まりやすくなるため、高得点が取りにくくなります。つまり、捨てた影響がその1問で終わらず、後の出題にまで及びます。安易に捨てる判断はしにくい形式です。

WEBテスティングは、自宅のパソコンで受ける形式です。1問ごとに制限時間があり、時間切れになると自動的に次へ進みます。テストセンターのように後の問題の難易度が変わっていく仕組みではないため、捨てた損はその1問で止まります。解けない問題を手放して、解ける問題に時間を回す判断がしやすい形式です。

大人塾で「捨てる」を強くお伝えするのは、主にWEBテスティングを受ける方に対してです。

どちらも、前の問題には戻れない

テストセンターもWEBテスティングも、次の問題に進むと前には戻れません。ペーパーテストのように、最後に見直す時間を取ることができない形式です。

これは、捨てる判断が取り消せないということでもあります。飛ばすと決めた問題は、それきりです。だからこそ、その場の勢いで捨てるのではなく、あらかじめ決めた基準で捨てる必要があります。

紙の問題集だけでは、練習できない

市販の問題集は、出題範囲を知り、解き方を身につけるためには有効です。ただ、そこで身につかないものが2つあります。

時間を強制的に測られる経験

紙の問題集は、自分で時計を見ながら解くしかありません。集中していれば時計を見忘れますし、少し超えても最後まで解いてしまいます。本番は違います。時間が来れば、途中でも次の問題に移されます。

捨てる判断は、この「強制的に終わらされる」環境でしか練習できません。時間内に解き終えられなかった問題が実際にどう処理されるかを体験して、はじめて手放す感覚が身につきます。

画面で解く経験

本番はパソコンの画面です。紙で解けていた問題が、画面では解けないということが起こります。

画面に慣れておく(老眼のことも含めて)

WEBテスティングでは、画面で問題を読み、電卓を使い、手元の紙に式やメモを書きます。視線は、画面と手元を何度も往復します。

紙の問題集にはない負荷が、ここで発生します。近くと遠くのピント合わせを繰り返すほど、問題文の条件を読み落としたり、電卓の入力を間違えたりすることが増えます。実際、大人塾でも、知識ではないところでの取りこぼしが模試で見つかることがよくあります。

40代、50代で受検される方にとっては、老眼との兼ね合いも無視できません。これは能力の問題ではなく、条件の問題です。条件が違うのであれば、準備の仕方を変えればよいだけです。老眼は、画面で解く試験の敵ですが、受け入れるしかありません。

そのために…

  • 本番と同じ、画面で解く形式で演習しておく
  • メモ用紙と電卓の位置を模索して、視線の移動を減らす配置を見つける
  • 手元と画面の両方が見えるメガネを用意しておく

まとめ

SPIで時間が足りないという悩みの多くは、解く速さではなく、判断の問題です。意識していただきたいのは3つです。

  1. 自分の得点源を見極める — 目標を決め、そこから取りにいく問題を絞る
  2. 難しい問題には手を出さない — 途中まで解けそうな問題ほど時間を奪います
  3. 解ける問題を確実に落とさない — 捨てて空いた時間は、ここに使うためのものです

そして、この判断は知識として知っているだけでは実行できません。時間を測り、本番と同じ画面で解く練習を繰り返すなかで、はじめて身につきます。

大人塾では、入塾前の無料カウンセリングで短い診断問題を解いていただき、いまの状態と目標に合わせて、進め方をお伝えしています。思いついたらお気軽にご相談ください。(カウンセリングは無料です)